女性不妊 5タイプ


ステップ1・ステップ2の問診票を基に、
あなたの体質と月経周期を考慮しながら治療を進めていきます。

現在、社会問題にもなっている先進国の不妊症ですが、実は中国3000年の歴史の中でも悩まされた人が多く、「無子」(不妊症)に関する古書は161冊にものぼり、その治療法に至っては897通りの処方が遺されています。中医学による女性不妊治療は「時間医学」を重視します。女性の月経周期や体調(生命・病理現象)は、月の満ち欠けや潮の満ち引きに深い関係があり、太陰暦に沿って変化すると考えます。7日毎(節)x4に段階的に分け、それぞれの時期に現れている症状を考慮した治療を行います。

女性不妊の代表的な治療、代表的な5つのタイプ、月経周期A・B・C・Dについてご紹介します。

女性不妊の代表的な治療について

代表的な治療の方向・処方・生薬
代表的な治療の方向 疏肝理氣、活血調經、補腎活血、活血化瘀、養血滋陰、 燥湿化痰、
清熱利湿、益氣養血、溫經散寒など。
代表的な処方 益經湯、甘麥大枣湯、四制香附丸、越鞠丸、柴胡舒肝散、溫經湯、
少腹逐瘀湯、帰脾湯、固冲湯、開郁種玉湯、二至丸、左帰丸、柴胡湯、
桃紅四物湯、金匮腎气丸、人参養营湯、養精種玉湯、右帰丸など。
よく用いる生薬 熟地、鹿茸、冬蟲夏草、当帰、白芍、阿膠、山薬、柴胡、丹參、赤芍、巴戟天、
仙茅、肉蓯蓉、淫羊藿、人参、黄耆、艾葉、益母草、紅花、香附、川芎、菟絲子、山茱萸など。

代表的な5つのタイプについて

1
腎陰陽
両虚型
生殖力に大きく関わっている腎臓のバランスが崩れているタイプ。
主な症状 月経が遅れがち、経血 が少ない、経血がうすい、めまい、耳鳴り、足腰に無力感が強い、性欲が淡白、脈が細く沈んでいるなど。
治療の方向 補腎暖宮・温陽駆寒など。
代表的な処方 金匮腎気丸、金鎖固精丸、右帰丸、左帰丸、還少丹など。
用いる生薬 熟地黄、鹿茸、仙茅、杜仲、巴戟天、黄芪、准山薬、紅人参、肉蓯蓉、補骨脂、仙霊脾など。
2
肝郁型
ストレスによる精神的なうつ状態によって、肝気不暢に陥りやすくなっているタイプ。
主な症状 月経周期の乱れ、月経前の乳脇や下腹の張り、偏頭痛、ため息、イライラ、怒りっぽい、脈は細く弦脈。
治療の方向 疏肝通滞・行気解郁など。
代表的な処方 逍遙散、四逆散、開郁種玉湯、七制香附丸など。
用いる生薬 柴胡、香附、烏薬、川芎、当帰、枳实、丹参、白芍、茯苓、木香、郁金、党参、菟絲子、など。
3
痰湿型
肥満タイプ。水、代謝力の低下、ホルモンの乱れによる過食、飲みすぎのタイプ。
主な症状 月経が遅れがち、経血量が少ない、経血の色がうすい、胸上腹つかえ、唾液・痰が多い、常に眠い、ふらふらする、頭が重い、乳液のにじみ、舌コケが白く厚い、脈が滑らかで遅いなど。
治療の方向 健脾燥湿・化痰通絡など。
代表的な処方 逍遙散、四逆散、開郁種玉湯、七制香附丸など。
用いる生薬 半夏、大黄、薏苡仁、貝母、皂刺、南星、茯苓、紫蘇子、礞石、莱菔子、甘草、陳皮、車前子など。
4
湿熱型
生理期間あるいは性交時の感染にかかりやすくなっているタイプ。
主な症状 月経周期の乱れ、経血の色が暗く多い、粘りがある、匂いが強い、下腹痛を伴う黄褐色を帯びたおりものが多い、時にヨーグルト状の分泌物が多くなる、舌コケが黄色く厚い、脈数が多いなど。
治療の方向 清熱利湿・調経止帯など。
代表的な処方 龍胆泻肝湯、加減、玉女煎合、泻黄散加減、導赤散、木防己湯、Vクリーン(カンジタ治療薬)など。
用いる生薬 龍胆草、黄芩、栀子、苦参、黄柏、蛇床子、蒼术、車前子、生薏仁、大青葉、白花蛇舌草、金銀花、土茯苓、馬鞭草など。
5
寒凝腎虚 血瘀型
冷えや虚弱体による血行不良によって、血の流れが遅く、子宮のみならず五臓六腑の供血・酸素不足によるうっ血症状になりやすいタイプ。
主な症状 月経周期が延びる、または閉経、下腹が冷える、経血に塊が時に多く時に少なく混じる、血量が不安定、だらだらと生理が続く、生理痛が伴う、舌色が暗い、脈が細く弱いなど。
治療の方向 補腎暖宮・活血化瘀など。
代表的な処方 桃紅四物湯、十全大補湯、膈下逐瘀湯、温経湯、失笑散、丹参飲など。
用いる生薬 桃仁、紅花、人参、当帰、艾草、赤芍、丹参、川芎、鹿角胶、覆盆子、巴戟天、桑堪子、王不留行、菟絲子、仙霊脾など。

月経周期A・B・C・Dについて

行経期 (月経期)
中医学では 重陽転陰期
時期 1~7日目
体内ホルモン濃度の低下により、子宮内膜が剥離し出血を伴う時期。
主な症状 体温は0.3℃~0.5℃下がって低体温レベルになる。健康な方は、下腹が少し張る以外にはほとんど症状はない。通常、3~6日で経血が止まる。気血不足やうつの方は、ホルモンバランスなどの原因で子宮内膜の剥離が不完全になり、腹痛、出血量の異常、頭痛、貧血などの不快な症状が出やすい。
治療の方向 経通、すなわち古い血をスムーズに排出し新しい血を生成すること、また、補血、痛み止めなど不快な症状を和らげることを主眼とした処方。
経後期 (卵胞期・増殖期)
中医学では 陰長期
時期 7~14日目
月経が終わって排卵までの期間。エストロゲン(卵胞ホルモン)が高くなり、卵胞が成熟し卵子排出を準備している時期。
主な症状 エストロゲンがたくさん分泌され、体調が安定する時期。経血が多い場合、造血力が低下している虚弱体の方は貧血になりやすく、体力が低下しがちである。
治療の方向 補血、体力を補充することによって、子宮機能を活発にし、子宮内膜を整え、卵子の発育を促進すること、子宮を温めること、血液の量と質を高めることを主眼とした処方。
経間排卵期 (黄体分泌期・発情期)
中医学では 重陰転陽期
時期 14~21日目
卵子が成熟し、最も妊娠しやすい時期。「的候」ともいう。
主な症状 性欲が高まり、錦糸状のおりものが分泌され、其のときに正常な精子を出会えば妊娠成立。気うつ、性欲不足、おりものの異常などの症状が現れやすい。
治療の方向 排卵を促進し、腎の働きを活発にし、卵子がスムーズに通るようにする処方。
経前期 (黄体退行期)
中医学では 陽長陰消期
時期 21~28日目
妊娠していない場合は、黄体が白化に向かっている時期。妊娠している場合は、子宮内膜が厚みを増し、受精卵着床準備の時期。
主な症状 月経のおよそ5日前から乳房が張ったり、体温は0.4℃以上高く維持される。相対的に体調が良く感じる時期。
治療の方向 補腎・温陽・益気養血・体力増進の処方で妊娠準備、または次の月経に備える。